Reconsideration of the History
40."NIPPON"は「アメリカ51番目の州」ではない!! (1998.10.22)

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日、またもや沖縄で米兵による事件(交通事故による業務上過失致死で、女子高校生が死亡)が起きました。まあ、交通死亡事故は沖縄に限った事ではありません。しかし、事故後の処置が再び沖縄県民の神経を逆撫でしてしまいました。交通事故を起こした米兵は、被害者を置き去りにしたまま現場から逃走し、自分の勤務する米軍基地内へと逃げ込もうとしたのです。結果的には基地へ逃げ込む前に、米軍によって取り押さえられましたが、その際、基地側は警察に対して、「起訴前」を理由に米兵の身柄引き渡しを「拒否」しました(起訴後、米兵の身柄が警察に引き渡された)。なぜ、彼(米兵)は米軍基地へ逃げ込もうとしたのでしょうか? それは、在日米軍基地が「日本の領土であって日本の領土ではない」からなのです。この中には日本の警察の力は及びません。そう、在日米軍基地には「治外法権」が認められているのです。では、なぜその様な事が認められているのでしょうか? それは、『日米安保条約』(新安保条約)と、『日米地位協定』によって、日米両国間にその様な取り決めがなされているからなのです。しかし、これはほんの「氷山の一角」でしかなかったのです。ワシントン(アメリカ政府)が、日本をどの様に見ているのか? そこにこそ、現在の日本が置かれている「立場」があるのです。すなわち、

日本は「アメリカの51番目の州」
Japan is "The 51st state of USA"

と言う「現実」です。と言う訳で、今回は幾つかの例を挙げて、いかに日本が「独立国」ではなく、アメリカの「51番目の州」として扱われているかを書いてみたいと思います。

本は「アメリカの51番目の州」として扱われている!! この最たるものが、在日米軍基地と言えるでしょう。一般に、在日米軍基地は日米安保条約によって、「アメリカが自衛隊と共に日本を防衛する」為と言う名目で設置されていると思われがちです。しかし、現実は全く違っているのです。朝鮮戦争(1950〜1953)・湾岸戦争(1990〜1991)・中国海軍台湾海峡軍事演習(1996)と言った「有事」に際して、在日米軍基地は「後方支援基地」として常に重要な役割を担わされてきたのです。しかも、重要な事は、「湾岸戦争」の様に、直接、日本の安全保障に関わらない事態に対しても在日米軍基地は機能していると言う事実です。更に言えば、アメリカ本土にある全ての米軍基地よりも、在日米軍基地の方が、武器弾薬から燃料に至る迄、あらゆる備蓄量が「多い」と言う事実です。アメリカ本土の備蓄量よりも、なぜ、在日米軍基地の方が多いのでしょうか? それは、日本を防衛する為ではなく、世界中で展開する米軍の為に「必要不可欠」だからなのです。

は通商問題。アメリカは事ある毎に、

「日本の市場は閉鎖的だ」
「日本は不公正な貿易をしている」
「日本はアメリカ市場で違法なダンピングをしている」

等と主張(言い掛かり)し、対日交渉が膠着したり決裂すると「お決まり」の様に、

"スーパー301条"の発動

をちらつかせてきました。ところで、この「スーパー301条」とは一体何なのでしょうか? これはアメリカの「法律」で、『包括貿易法(通商法)』第301条の事を指します。この法律がどの様な物かと言いますと、

  1. アメリカ産業界が「アメリカ通商代表部」(略称:USTR 早い話が日本の「通産省」の様なもの。余談だが、かつての通商代表・カンター氏は、てっきり「ヤ×ザ」屋さんかと思った)に相手国の「不公正な行為」によって損害を被ったと提訴。
  2. USTRが相手国に対して調査し、「不公正な行為」がなされたと「判断」すると、相手国に対して「是正」を求める。
  3. 相手国が「是正」に応じない場合、「スーパー301条」を発動。相手国に対して、高い関税やアメリカ市場からの「排除」等の「制裁」を科す。

と言った具合です。さて、ここで重要な事は、二国間(あるいは多国間)貿易において、「国内法」である「スーパー301条」で、相手国を「裁く」と言う行為です。そして、この「スーパー301条」は多分に「日本向け」の法律であったと言う「事実」です。これは取りも直さず、ワシントンが日本を「アメリカの51番目の州」として見ていた証拠と言えます。でなければ、アメリカの「国内法」で、日本を「裁く」事等出来るでしょうか?

上の様に、アメリカがいかに日本を「アメリカの51番目の州」として扱ってきたかを見てきた訳ですが(まだまだ事例はあるのですが・・・)、私にはどうにも

古代ローマ帝国と属州ユダヤの関係

の様に見えてしまうのです。古代ローマ帝国の属州だったユダヤ(イスラエル)は「自治」を認められていました(属州時代も「王」がいた)が、ローマ帝国に「反逆」した為、結果的に「併合」されてしまいました。もし、古代ローマ帝国をアメリカ(「アメリカ大統領」はさながら「新ローマ皇帝」?)に、属州ユダヤを日本に置き換えたとすると・・・日本もいつかはアメリカに「併合」され、名実共に「アメリカの51番目の州」になってしまうのでしょうか? 次回は、そうならない為に日本はどうしたら良いかを私なりに考えてみたいと思います。


   余談(つれづれ)

「スーパー301条」を話題にしましたので、そのついでになりますが、純国産のOSに「BTRON」(ビー・トロン 最新バージョンは「B-right/V」)と呼ばれる物があります。これは、Windows推奨環境よりも低いマシンパワー(Pentium以前のCPUでも)で、Windowsよりも遙かに快適な動作をし、基本機能だけで多国語が扱える(漢字なら将来的には10万字も使える)等、非常に優れたOSです。さて、この「BTRON」ですが、その最大の特徴は、仕様が「公開」されている事で、その仕様に則って開発したソフトパッケージは誰が販売してもOKと言う物でした。つまり、「開かれた」ソフトウェアだった訳です。しかし、これがアメリカ市場に「上陸」、市場を席巻するのを恐れたアメリカメーカーが、USTRに働きかけ、スーパー301条による「制裁対象リスト該当製品」に一時載った事から、アメリカ市場(言い換えれば「世界市場」)で普及しませんでした。そして、「BTRON」がアメリカ市場に普及しなかった事で、マ○ク○ソ○ト社の「Windows」はOS市場を制したのです。


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